地酒を親しむ会宮城|勝山酒造
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勝山酒造

勝山酒造

仙台藩62万石の城下町として「杜の都」の名で親しまれ、一度は住んでみたい町と云われている仙台は、東は太平洋、西は奥羽山脈に接し、都心には清流広瀬川が流れ、青葉通・定禅寺通りなどのケヤキ並木が街を彩る自然が豊かな町です。

春は青葉祭り、夏には東北三大夏祭りのひとつ仙台七夕祭り、秋には定禅寺ジャズフェスティバル、年末には光のページェントと、四季折々のイベントが目白押しで、地元のみならず全国各地からの多くの観光客で賑わう仙台のシンボル「ケヤキ並木」定禅寺通りにほど近い青葉区上杉に勝山企業がございます。

蔵推奨銘柄

勝山酒造の沿革

勝山の創業は江戸時代元禄元年(1688)年間で、安政四年(1857)、仙台藩より「御酒御用酒屋」を拝命し、上杉山通り角の屋敷(現在地)を拝領し、勘定奉行支配の扶持人として名字帯刀御免の士格に列せられた。以来『勝山』や『泉川』の銘にて酒を醸してきました。『勝山』の銘の由来については不詳ですが、藩の御用酒に相応しく縁起の良い「勝」と「山」の文字を取り合わせたと言われております。

昭和五十七年より、仙台藩御酒御用酒屋の伝統と暖簾を守り、『手造り』を名乗れる和釜と蓋麹法による正当な手法で、「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」といった特定名名称酒のみを醸しています。

これまで多くの鑑評会において数々の好成績をおさめております。
昭和30年、32年の全国品評会で全国第一位の栄誉を得ている。
近年連続して全国・東北新酒鑑評会金賞受賞、宮城県デザインコンクール・パッケージ部門金賞受賞、また世界の食品展モンドセレクションでの特別金賞受賞等々、名実共に仙台・宮城を代表する酒として親しまれております。

次のステージで目指す酒造りとは?!

伊澤平蔵氏

勝山企業は、酒造りの他に仙台の迎賓館「仙台勝山館」や宮城調理師専門学校を経営、西洋と東洋が融合した食を堪能できるレストラン(SHOZAN)をパリに出店、日本酒とフランス料理との新たなコラボレートを世界へ広める国際企業でありながらも酒造りでは頑固に伝統の技を継承し、時流に染まらず仙台独自の地方文化の主張を込めた造りを目指している蔵「勝山」の若き代表「伊澤平蔵氏」にインタビューさせていただきました。

叶わぬ夢と思われていたSHOZANをはじめ大きな偉業を達成してきた勝山企業会長、宮城県酒造組合会長を務められている宮城を代表するカリスマ経営者伊澤平一氏を父にもつ平蔵氏が、酒造りの分野で新たなチャレンジを始めようとしています。

平蔵氏は造り酒屋の5人兄弟の長男として生まれ、酒蔵の中で育ちました。遊び場所はいつも酒蔵、自然と酒の味をおぼえ、酒造りから利き酒まで一通りこなせるようになったそうです。

昨年末、宮城を代表する蔵元、佐浦社長や平井社長はじめ墨廼江社長など酒蔵の後継者の方々が、武者修行する広島県醸造試験場で3ケ月の研修を受けてまいりました。ところが平蔵氏は、門前の小僧で、ほとんどマスターしているため、受講生のリーダー格として、習うどころか同級生にいろいろ教えてきたとのことでした。

「父親が求めていた理想の酒は、健全な発酵から始まり妥協を許さない徹底した酒作りで雑味のないバランス重視のきれいな酒を目指してきました。その甲斐あって鑑評会で常勝する高い技術力を誇る蔵として内外が認められる蔵に成長しました。その卓越した技術力を生かし、私はきれいな酒にプラス、おし味のある旨みのある酒、世代に関わりませんが、特に若い方々にアピールする酒、個性のある酒を目指しています。

父親世代では、和食中心のため素材の味が前面に出る味の薄い料理が多く、食中酒としてきれいな酒が求められていました。ところが今では、油を使った料理が多くなり、和食、中華、天ぷら、揚げ物などバラエティー豊かな食生活になりました。極端な例ですが、なににでもマヨネーズをかけるマヨラーなる方までいらっしゃいます。このようなバラエティー豊かな食生活の中では、料理を楽しみながら日本酒を味わうには、きれいな酒だけでは物足りなく感じます。きれいな酒にプラスして主張のある酒、旨みが口に広がる個性のある酒が求められているのではないかと思っています。

新たなチャレンジとして会長の理解を得た上で、整った字体から自由闊達な字体に変更した新たなラベルで、今までの勝山の酒質にない日本酒を販売し好評を博しております。今私にとっての宿題は、米どころ宮城を代表する蔵元として、地元で生まれ育った土地でも美味しい日本酒が出来ることを全国の方々に知っていただきたいとの思いから、宮城が誇る酒米「蔵の華」で山田錦に負けない美味しい酒を作ることです。」

勝山酒造、仙台勝山館、宮城調理師専門学校、SHOZANと、偉大な父平一氏の跡を引き継ぐ若き5人兄弟が、次のステージに向けて、それぞれの得意分野で、新しいチャレンジを重ね、成功を積み上げながら勝山グループが飛躍を遂げるべく準備をしています。

その核として、平蔵氏は、納得できる酒造りを目指し、勝山酒造部の分社化に向けて準備を整えています。

余談ですが、平蔵氏から「仙台牛たんの公式ページを作られているとのこと、私がパリにいた時に、現地にいる日本人から仙台牛たんはアメリカ進駐軍の余り物から始まったと云われ肩身の狭い思いをしましたが本当ですか?」と尋ねられました。・・・・・・それは真っ赤なウソです。詳しくは仙台牛タウン「仙台牛たんの歴史」をご覧ください。

仙台から世界へ

勝山酒造部では、昭和57年から全ての酒を吟醸、純米、本醸造のみに限定し少量生産・高品質志向に徹しております。全国新酒鑑評会に於いて4年連続金賞を受賞、ベルギーで行われている国際品評会「世界モンドセレクション」に於いても純米大吟醸が3年連続特別金賞を受賞するなど国際的にも認められた輝かしい受賞歴を誇っています。

洗い場洗い場

ここでは洗米・浸漬・吸水の作業を行います。単純そうな作業ですが、高度精白された米は割れやすく、吸水速度も速いため、白米の状態によって微妙な調整が必要になります。洗米には洗米機という簡単な機械を使いますが、大吟醸酒の原料となる白米の場合は手洗いを行います。


釜場

ここには、昔ながらの和釜が設置されています。表面には頭の部分が見えているだけですが、本体部分は下に埋もれています。

和釜に水を入れ、下から加熱し蒸気を発生させます。

和釜の上にあるのが甑(コシキ)といわれるもので、酒造りの時期にはこれを和釜の上に乗せて洗った米を張り込みます。和釜から発生する蒸気で、甑の中の米を約一時間蒸し上げます。

釜場米を蒸す理由には、
1.麹菌が生育しやすくするため
2.麹菌の酵素を作用しやすくなるため
3.米を殺菌するため
といったものがあります。

和釜を今も使い続けているのは、よい日本酒を造るための蒸米がつくりやすいからです。酒の発酵に直接のかかわるのは米ではなく蒸米です。良い蒸米とは表面が乾いて硬く締まり、内部が軟らかく弾力のある「外硬内軟」の蒸米です。

和釜は、蒸し始めは水分を含んだ蒸気が上がり、甑の中の米は蒸気を吸い軟らかくなります。蒸しの終わりに近づくと和釜の中のお湯が減って釜の周囲の熱で蒸気が加熱され、乾燥した蒸気が上がり、甑の中の米の表面の水分を乾かします。その結果、「外硬内軟」の蒸し米ができるのです。


麹室 床(こうじむろ とこ)麹室 床(こうじむろ とこ)

蒸し上がった米は、冬の寒気を利用してすぐさま冷却されます。ほどよく冷まされた蒸米の一部は麹室に運びこまれます。麹室の中は麹菌の繁殖しやすい環境(じめじめした真夏のような環境)になっています。冬の外気に影響されず温度と湿度を保つため厚い壁で囲まれています。

麹は約二日間かけてつくられますが、最初の工程を「床(とこ)」と言います。運び込まれた蒸米に種麹から胞子を振りかけ、麹菌が増殖しやすいように厚い布で覆います。蒸米の表面についた麹菌の胞子は暖かい環境の中でどんどんと増殖していきます。


麹室 棚(こうじむろ たな)麹室 棚(こうじむろ たな)

蒸米の表面に麹菌が十分に増殖すると麹菌は菌糸を米の内部へと伸ばし始めます。この段階に至ると、麹菌の活動が活発になり発熱し始めます。床の段階は保温をしていましたが、発熱を始めると麹菌は自分の出す熱によってどんどんと温度があがり、放っておくと自分の熱で死滅してしまいます。

そこで、熱を発散しやすいように小さな箱に小分けをし、定期的に手入れをしながら適切な温度になるように調整をします。小分けにすると蒸米の表面が乾燥しやすくなりますが、乾いてしまうと麹菌は繁殖できなくなります。棚の工程では温度ばかりでなく部屋の湿度管理も厳重に行います。こうして蒸米に麹菌が繁殖し麹ができあがります。

麹は甘酒を作るのに使われるように、米の中のデンプンを甘いブドウ糖に変える働きをします。これは麹菌が作り出す酵素の作用によるものです。


枯らし場枯らし場

約二日間かけてできあがった麹は枯らし場に運ばれ、仕込みに使うまでの間寝かせます。


酒母室

酒母とは、文字通り酒の母です。日本酒は米を原料としたお酒ですが、その仕組みは
酒母室1.米の澱粉が麹の酵素でブドウ糖に変わる
2.ブドウ糖が酵母によってアルコールに変わる
というものです。

酒母はおいしいお酒を造るために必要な優れた性質を持つ酵母を大量に育てる工程です。

酒母室には小型のタンクが並んでいます。このタンクに麹と蒸米と水を仕込み、そこに酵母を加えます。酵母は蒸米から作られるブドウ糖等を栄養にして増殖していきます。

最初は増殖を助けるために暖気(ダキ)といわれる加温操作をします。清潔なステンレスタンクにお湯を入れ、これを酒母の中に入れてゆっくりと暖めます。

酵母は次第に数を増やし、約二週間で1ミリリットルの中に約一億個もの数になります。また、増殖の間にアルコールも生成し、酒母ができあがる中でアルコール発酵に強い酵母だけが生き残ります。


仕込蔵仕込蔵

仕込蔵には約8000リットルの大きなタンクが林立しています。本仕込みはこの大きなタンクで行われます。

まず、酒母をタンクに移し、そこにさらに蒸米と麹と水を仕込み酒母の量の約三倍にします。これを初添といいます。

酒母の酵母は物量が増えたことで薄まってしまいます。ここで一日ねかせて酵母の増殖を待ちます。これを踊りといいます。

踊りの翌日、さらに蒸米と麹と水を仕込みます。これを仲添といいます。

翌日さらに蒸米と麹と水を仕込みます。これを留添といいます。

留添が終了した段階の量は、酒母の約13倍になります。いっきに物量を増やすと酵母が薄まりすぎて雑菌汚染を受けやすくなるのですが、酵母の増殖に歩調をあわせて段階的に物量を増やすことで、酵母があまり薄まらず、雑菌汚染を受けにくくなります。これを段仕込みといい、実に巧妙な日本酒の伝統的な仕込み方法です。

留後、発酵温度は発酵状況に合わせて厳格に管理されます。わずか1度の温度差が酒の品質に大きな影響を与えます。勝山酒造では最高でも約13℃の低温で、時間をかけてゆっくりと発酵を進めます。この状態を醪(もろみ)といいます。

低温長期発酵は香りが良くきめの細かい味の酒に仕上がります。発酵期間は25〜30日です。

仕込み蔵は夏期は酒の貯蔵に使われ、一年を通して8〜10℃の温度変化の少ない環境で酒をゆっくりと熟成させます。


槽(ふね)槽(ふね)

発酵の終わった醪は酒袋にいれて搾られます。酒袋は水枕状で、これを槽の中に並べ、上から圧力をかけて搾ります。槽口(ふなくち)からは透き通った新酒が流れ落ちます。搾った後に酒袋の中に残るのが酒粕です(板粕)。